オトナのオトモ日記

モンハンを主軸とする、ゲームブログです。小説も書いたり、たまに映画鑑賞日記も。雑食性です。

レーシェンの生態 後編

割と公表なのか、やたら閲覧数が伸びてます。自信持っちゃいますねえ。ありがとうございます!

 

それでは、後編スタートです。

 

 

 

「これは・・・・蜂!?」
植生研究所を覆った黒い煙。それを構成するモノに気付いたスズナの緊張感のある叫びとは対照的に。

「クククク・・・・ハチミツの臭いが凄まじいな!ニクイドリの代わりというわけか?」
総司令は忍び笑いを漏らしている。さっき感じた古代樹から漂ってきていた臭いは、ハチミツであった。幹と言わず枝といわず。あらゆる所から樹液のように黄金の液体が吹き出している。しかし何故・・・・?と鼻をひくつかせながらスズナが頭の上に疑問符を浮かべていると

スズナ。お前今植生研究所に何を依頼している」
完全に笑っている総司令が緊張感なく聞いてきた。緊張感はないが、スズナの肩をつかんで後ろに下がらせつつ、だ。暗に危険はゼロではないことを告げている。

「え、えぇーとハチミツと・・・・って!え?この蜂レーシェンじゃなくて私が依頼したハチミツ増殖の蜂!?」

「ハッハ、やはりな。ということは、残る2枠の増殖依頼は定番の」
古代樹を覆う蜂の群れの中に、チカチカと光るものが見え隠れしている。光蟲も増殖中だったのだろう。

総司令の推測はこの状況だった。森の古代樹とアステラに根付いた植生研究所古代樹の違い、それは"生物の成長繁殖を促し増殖させる力"であり、調査団員は皆それぞれの狩りに役立てるため生物素材を増殖させている。この力が、どうやらレーシェンの魔力で増幅されてしまったようだ。それがハチミツ、光蟲。
そして、あと1枠は・・・・

状況を察したらしいスズナも総司令に倣って後ろへ下がりながら、頬をひきつらせながらつぶやいた。

「お隣の生態研究所の本棚が倒壊したりしたら、ちょっぴり爽快かもしれませんね」

ザザザザ・・・・ッ
スズナのつぶやきが終わるやいなや、黒い蜂の煙の中からレーシェンが姿を表した。捻れた角を左右につけた鹿のような頭骨の下に、樹で構成された痩せ細った貧相でも禍々しい身体。両手には鋭い枝が指爪として伸びている。
本来であれば恐ろしい姿なのだが、蟲や植物、キノコなどのアイテムを増やす力を持つ植生研究所古代樹で増殖が進んでいる3種のうち、ハチミツ、光蟲に次ぐ最後の1枠が起こす現象を予想すると、総司令もスズナもにやけながら後ずさりせざるをえない。

「レーシェンも出現した瞬間だろうにご苦労なことだな。で、スズナよ。最後の増殖依頼品は?」
総司令の問いに答えるその瞬間、スズナくるりと後ろを振り向き。

「鬼ニトロダケです」
そのまま両手を大きく広げて前方へジャンプ、階段の向こうへダイブした。

 

ドゴォン!!!

 

高級耳栓が付いていなければ鼓膜が吹き飛んでいたであろうほどの爆音が、アステラ全体を揺るがした。
"大タル爆弾グレート"の火力ブーストに使われる"鬼ニトロダケ"の増殖中であった植生研究所古代樹は、レーシェンの依り代となる際に増殖能が急激に増し、ハチミツを溢れさせ光蟲を大量発生させ・・・・鬼ニトロダケの大増殖&連続大爆発を引き起こしたのだ。

ドゴォン!ドゴォン!

「ハッハッハ!たまにはこんな鬼ニトロ大爆発も景気よくて良いかも知れんな!」
なおも続く爆発の中、総司令が緊急回避後の腹這い姿勢のまま豪快な笑いを発している。調査全団の統括という重責を担う立場上、このような形でのストレス発散をどこかで欲していたのだろうか。

ドゥン!ゴォン!!ドッガァン!!!

その後、もはやレーシェンの姿などとうに見えなくなってもまだ、鬼ニトロダケの連続爆発はしばらく続いた。

 

「・・・・むぅ。素直にレーシェンと戦っていた方が被害が小さかった気がするな」
爆発が収まり古代樹に近付いていく総司令は、いつもの冷静な口調と歩調であったが、古代樹周辺は真っ黒に焼け焦げていた。

スズナの指摘通りアステラ内部に出現したレーシェンは爆弾により四散したが、爆発の範囲は小さかったためアステラの街自体は守られたが、古代樹がおおいにひしゃげている。なのに爆発の中心に最も近かった2匹のオトモ、マルとオモチが少し焦げただけなのが不可思議だが。

「でも、鬼ニトロダケのおかげで戦闘不要で勝手に爆発で倒れてくれるなら、古代樹警備は必要なさそうですね」
総司令のあとに続くスズナが気楽そうに言う。

「あぁ。だが建物と古代樹の修復係が要るな。リリィのハギトリスタイルも補修材確保のためにも是非欲しい。もちろん本来の目的である調査拠点拡張のためにもな。予定通りハンターギルドに申請は通しておこう。残るは・・・・」
スズナの目的達成を担保する一言を発してから、総司令は古代樹から目を離し、後ろを振り返った。

「この馬鹿どもの仕置きだなあ」
「ふギャッ!!?」
焦げたオモチとマルの尻尾を踏んづける。連続爆発に最後まで巻き込まれていながら元気に悲鳴をあげる2匹に対して、もはや同情する者は誰も居ない。

「あ・・・・あははは・・・・お手柔らかに」
流石のスズナも擁護することは出来ず、ひきつった笑みを浮かべるだけだった・・・・